心理占星術と未完成な日々┃nicosmic life

自分自身が納得できる人生を歩むために、ホロスコープの構造を利用する

対人力 天秤座の土星 ラストスパート

1週間ほど前、ちょうど防衛大臣のコーヒー事件がニュースになっていた頃、新聞でひとつの記事を見つけた。

田中防衛相の義理の父、田中角栄の記事だった。

昭和47年、北京で行われた中国との国交回復交渉をめぐる席で田中角栄は、中国から厚遇を受けたという逸話だ。

部屋には彼の大好物のアンパンが用意され、朝食には故郷・新潟の味噌が使ってあったという。

大抵の政治家は、中国側の手厚いもてなしに対し友好的な感情を抱くところだが、田中角栄は同行していた外務大臣に一言、「すごい国に来たな。交渉は命懸けだ」と言ったという。

事実、中国側との間で丁々発止の主導権争いが繰り広げられたらしい。

アンパン一つから相手の思惑を見抜く外交センス。

田中角栄の叩き上げの人生がこのセンスを生んだのかもしれないが、多かれ少なかれ、昔の日本の政治の有り様、自国に対する責任の見せ方はこのようであった。

土星は2009年末に一時天秤座入りしたが、本格的に天秤座を運行し始めたのは2010年7月末。

その直前の5月には沖縄普天間基地の移設問題、9月初めに尖閣諸島問題などが勃発している。

このように天秤座の土星は、外交の重要性をとことん教えようとしているのだ。

ルール、限界、構造など、人間間での同意できる部分から作られる現実を象徴するのが土星だが、土星は自己の外側にそれ以上広がることのできない限界を与え、現実感を維持させようとする。

トランジット・土星は、知らず知らずに作り上げてしまった自己意識を社会の中で通用するよう再構築するのが目的なのだ。

土星は個人の注意を自己の外側に向けなければならない。

つまり自分のではなく、相手のものさしを理解し、そこに標準を合わなければならないということ。

土星は他者のやり方、考え、欲求、ルールなどが個人の人生に持ち込まれ、再調整、メンテナンスする。

天秤座・土星は、他者との協力関係の築き方に新しい学びを教え続けてきた。

出会いや別れなど、パートナーシップのあり方を現実感覚を通して体験した人も多いだろう。

今、最後の逆行で天秤座の調整は終わりを迎え、10月には土星蠍座に向かう。

「いつ素敵な人が現れますか?」だけではない使い方も天秤座にはある。

仲間、恋人、家族、または国民など、どうしても守らなくてはならないもののためには、本気の戦いをしなければならない。

この8カ月間、自分なりの交渉術を身につけてみるのもいいかもしれない。

このような難しい時代、人を理解しつつ、肝を据え現場でしっかり結果を出していく。

それが、間違いなく蠍座土星へとつながっていくことになるだろう。