心理占星術と未完成な日々┃nicosmic life

自分自身が納得できる人生を歩むために、ホロスコープの構造を利用する

グラントトライン――防衛とその成り立ち

を先日の講座で扱った。

占星術学習者の人たちが戸惑うティルのロジックのひとつが、このグランドトラインの防衛だ。

「防衛?!幸運の大三角形じゃないの?」といった具合。

確かにね。

世の中が自己中心的に回っていて、人とかかわり合うこともなければ、グランドトラインの持ち主は問題どころか、自給自足という意味では大いに優位に立つことができるだろう。

いつも言っているけれど、逆行だろうが、ノーアスペクトだろうが、ハードアスペクトだろうが、陸の孤島でひとりっきりで生活する分には、そういった難しさは何の障害にもならない。

結局、世俗の問題は対人関係が主なのだ。

グランドトラインは、他者を遠ざけ、自分の価値観(それぞれのエレメント)の中に埋没してしまう傾向があると推測される。

火なら自己の情熱の中に、地なら自己の物質的、現実的な中に、風なら自己の思考の中に、水なら自己の感情の中に閉じこもる。

ティル本によればグランドトライは、自己充足による閉鎖された回路、エゴという防壁の周囲に三角形の堀を形成し、エゴを環境から隔離する作用ということだ。

トラインのアスペクトを考えてみるとわかるかもしれない。

トラインは安定のアスペクト、変化させることが難しいアスペクトだ。

グランドトラインは、トラインのアスペクトでエレメントを堰き止めてしまう。

自ら逃げ場を探すのは難しいかもしれない。

グランドトラインの講義後、生徒のMさんが「グランドトラインはペンローズの三角形のような感じでしょうか」と表現してくれた。

うまいですね。

抜け出したくても抜け出せない、出口なき迷路のような感じかもしれませんね。

その時、突破口となるのは、スクエアのアスペクトだ。

環境や他者からの刺激によって、または自覚的体験によって、風穴を開ける。

またはノーアスペクトなどの次元の違う体験の積み重ねによって、外側から違う刺激を与える。

適正なハウスを意識するのも効果がある。

けれど解決策を見つける前に、「なぜ、その防衛が形成されたか?」を考えるのは重要だ。

そうでないと、アドバイスにも説得力が欠けてしまう。

父親の無理解、兄弟からのプレッシャー、生命エネルギーの弱さ…閉じた回路が形成された経緯は、人それぞれだ。

それを意識してもらったうえで、既に防衛が必要ないことを理解し、そして恐る恐る、または思い切って、新しい扉を開いてもらうよう導いていく。

意識が他者へ向かえば、グランドトラインは、もちろん卓越した能力になりうるだろう。

それにしても、日々、たくさんのことを生徒さんから教えてもらう。

特に、象徴を占星術から離れた視点で捉えることができるというのは、初期学習者の強みだ。

なので学習して間もない方も、是非臆せず、自分なりの見方、考え方で人それぞれの人生について読み解き、そしていろいろ意見を聞かせてほしいと思う。

占星術で凝り固まった私の頭に、新鮮なアイデアで風穴を開けてもらえるとうれしいです。

楽しみにしてます!