心理占星術と未完成な日々┃nicosmic life

自分自身が納得できる人生を歩むために、ホロスコープの構造を利用する

選択の力

大統領選の行方が気になる中、今日は天王星の話。

ドナ・カミングス女史のアウタープラネットに関する記事を読んでいた時、あるクライアントのチャートが頭をよぎった。

彼女の父親は有名な空手家で、兄弟の中で一番筋がいいということで、道場を継ぐべく厳しいしつけをし、それに耐えられず、彼女は父親の元を離れ、海外へ逃げ出した。

彼女のコンサルテーションを行ったのは、長い放浪から帰ってきたばかりの時。

出生図は天王星の強調があり、土星と強く葛藤しているのが特徴的だった。

コンサルテーションの最中、彼女はこんな印象的なことを教えてくれた。

「旅をしていると選択の連続で、それまで自分で何かを判断したことがなかったから、ひとつひとつの選択がとても新鮮だった。私という人間はこういうものを選ぶのかと、自己発見の連続だった」

これが天王星=個性の目指すところだ。

慣れ親しんだ作業や人といった環境の色に染まり、単調な日常を刻んでいたある時期、T天王星がネイタルチャートに刺激を与える。

大抵、天王星のトランジットは「変化の時」と解釈されることが多いが、その変化の過程で行われる「選択」こそ、天王星の目指すもの。

住居を変える際、自分は何を優先するのか。

仕事を変える時、自分は何に重きを置くのか。

恋人との関係性の中で、どのような自分を表現したいと強く感じたのか。

その結果選ばれた自分らしさが、個人に自分らしさの正体を教えてくれることになる。

先ほどのクライアントは、長い放浪生活の中で自分らしい空手の在り方を見つけたと言った。

世界中の道場をめぐり、子供たちとの触れ合いを通して、自分らしいスタイルを発見したのだ。

コスモポリタンな視点を持つことで、枠にとらわれない生き方を見つけていく。

これも天王星の素晴らしい利用の仕方のひとつだろう。

天王星的個性は、一朝一夕には作られない。

それは先日紹介した羽生善治の本にも書いてある。

「さまざまな経験や知識、その集積からなる価値観に基づいて表出される独自性」が個性だと言い、そして「ものすごく遠回りしながら熟考して導き出したもののほうが、長期的視点に立てば、後々まで役立つことが多いと言える。深く考えて得られた自信、確信こそが、疑念や迷いが生じたときの支えになる」ということだ。

だから焦る必要はない。

私は今、陰ながら応援している人たちが数人いる。

彼らは仕事が決まらなかったり、病気に苦しんでいたり、人生に立ち往生していたりしている。

でも、そんな奮闘の最中、自分にとって何が大切なのかを、丁寧に見極めながら乗り超えてもらえたらと思う。

苦しみながらも、ひとつひとつ大切に選択しながら生きてほしい。

ドナ・カミングスは、トランスサタニアンが特徴的なチャートになっている場合、中年の危機を乗り越えた先に、自分らしい生き方を選択できると書いている。

「大きな変化には大きな抵抗がつきもの」で「何らかの代価を支払わなくてはならないが」、「それにより、もともとの障壁も取り除かれる」のだという。

そして、「その人の本来の人生の目的や能力にあった新しい仕事が生まれているかもしれない」というのだ。

私もその通りだと思う。

どのような自分らしい選択をしたのか。

また、報告してもらえるとうれしい。