TYLセミナーも残すところあと1日。
毎日とてもハードな講義が続いている。
夜は服を着たまま、そのままベッドに倒れ込むように朝まで寝てしまう。
やはり、ノエルの講義は魅力的だ。
今回は「プラシーボ効果」がテーマになっているらしく、講義の中で多用している。
プラシーボとは「偽薬」という意味だが、プラシーボ効果とは、薬理的影響のないブドウ糖や乳糖を薬だと偽って処方することで、薬を投与したのと同じ効果が得られることを言う。
不眠とか下痢とか頭痛とか心理的疾患には特に効果が見られるということだが、なるほど、人はどれだけ思い込みで病を作りだしているかが良く分かる。
よく、ノンアルコールビールでも酔えるというのも、同じ効果だと考えられるだろう。
ノエルは、コンサルテーションはプラシーボを効果的に利用することが大切だと言う。
コンサルテーションルームの雰囲気作りから始まり、言葉の選択の仕方、会話の進め方等により、どれだけクライアントをよりポジティブな方向に導けるかが大切だと言うのだ。
確かに、これこそが占星術を使ったセッションに求められていることなのだろう。
人は何かを信じたい。
どうせなら、よりうまく信じさせてほしい。
まあ、一種の催眠術みたいなものなのかもしれないね。
河合隼雄氏も「うそは常備薬」と書いているけれど、「偽」はコンサルテーションにおける上級テクニックであることは間違いないだろう。
下手に使えば信用をなくすことだってある。
相手と真剣に向き合う姿勢をなくしては、この効果はまったく期待できない。
この点のさじ加減は、経験を積むしかない。
みなさんは、プラシーボ効果をどのように使っているだろうか。
火事場の馬鹿力ではないけれど、人は知らず知らずのうちに自分自身にリミッターを掛けて生活をしている。
潜在能力の半分も活かせず、可能性を自ら放棄している人が大半だ。
エレノア・ルーズベルトの有名な格言「あなたの同意なしに、誰もあなたに劣等感を抱かせることはできない」にもあるように、自分自身を制限してしまっているということ、それ自体に気付くのも実際は難しい。
コンサルテーションの現場でも、「なぜ、それができないと思うのか?」に気付くことが重要なステップになることも多い。
そのリミッターをホロスコープを用いて外すこと。
おととい、参加者のひとりであるマジョリーが80歳の誕生日を迎えた。
みんなにお祝いしてもらい子供のようにはしゃぐマジョリー。
きのうの夕食の席で隣り合った時、彼女の80年の人生の物語を聞かせてもらうことができた。
30歳で離婚をしたそうだが、当時は女性の自立には障害が多く、子供を抱えながら大変苦労したと言う。
「俺と寝れば雇ってやるよ」とバカにされ、男と同じような仕事をして必死に生きてきたんだって。
「苦労を乗り越えて来たから見える景色があるのよ」と彼女は言っていた。
心理占星術研究所に来た人は見たことがあると思うけど、マジョリーの描いた絵がトイレに飾ってある。
温かく幻想的な絵。
私のお気に入りだ。
この絵とともに彼女の笑顔を思い出せば、私もきっと頑張れるかもしれない。