心理占星術と未完成な日々┃nicosmic life

自分自身が納得できる人生を歩むために、ホロスコープの構造を利用する

双子座ー射手座の満月を前に考える――言葉の力

先ほど、コーヒーを飲みながら、電子レンジの扉に映ったくたびれ果てた自分の顔を見た時、マルグリット・デュラスの「L'AMANT」の冒頭文がふと頭をよぎった。

恐らく、このブログでも取り上げたことがあったと思うが、翻訳も美しく、事あるごとに私は、そのセンテンスを思い出しては酔いしれている。

ある日、もう若くはないわたしなのに、とあるコンコースで、ひとりの男が寄ってきた。自己紹介をしてから、男はこう言った。「以前から存じ上げてます。若い頃はおきれいだったと、みなさん言いますが、お若かったときよりいまのほうが、ずっとお美しいと思ってます、それを申し上げたかった、若いころのお顔よりいまの顔のほうが私は好きです、嵐のとおりすぎたそのお顔のほうが」

そのように自分自身の老いた顔を描写した、デュラス自身の人生について思いをめぐらす。

私はデュラス・マニアなので(好きすぎて、ベトナムの生家を探し当てたり、トゥルーヴィルの別荘を訪ねたりもした)、たとえ小説の中の話だとしても、そして多少、誇張がすぎているのはわかっていても、彼女が自分の老いについて、このような良い印象を与えたことを心から気に入っている。

昔、ある先生が、「100年後も残っているだろう本を読め。そこには人間の真理が描かれている」と言っていた。

私は、それを実践しようと努力してきた。

なので、私はあまり読書家ではない。

限られた時間の中で、力のある言葉だけを自分に与えたいと思っている。

こんなことを考えるのは、双子座の水星・金星・木星の影響かもしれない。

そして明日の昼、双子座ー射手座の満月を迎えることを思い出す。

普段は、あまり満月やら新月やらについて語るのが好きじゃない私だが(無意識の感性を楽しみたいので)、言葉や思考、コミュニケーションの確認作業となるこの満月は、私にとって、何となく意味があるように感じて、今日はここに取り上げてみた。

今、必死に翻訳作業をやっているということもあり、また、私の大切な友人から、素敵なメールをもらったということもある。

前を向いていさえいれば、必ず成功にたどり着けるよ。

自分を追い込みすぎずに、自分に優しくね。

私が忙しすぎてパニックを起こしていると書いたメールの返事だった。

言葉は力を持っている。

このような仕事をしている者にとって、言葉の力について考えることは非常に大切なはずだ。

にもかかわらず、忙しさに任せ、かなり言葉を雑に扱ってしまっていた。

これも以前、ブログに書いたことがあるセンテンスだが、再度、自分に言い聞かせるように、ここに記してみたい。

ことばはいきいきと魂を告げ知らせ、魂はことばを操ります。ことばは魂に依拠しています。魂は胸底にひそみ、ことばは人前に出ます(中略)とはいえ、魂の世話がよくなされている場合には、ことばもなおざりにされているはずがありません。逆にまた、魂に威厳がそなわっていなければ、ことばの品位のそなわるはずがありません。

ペトラルカ―――ルネッサンス書簡集より

700年近く前に書かれた本を手に、今、改めて思う。

言葉を大切に扱い、魂を大切に扱う。

そんなことを考えながら、明日の満月を迎えてみたい。