心理占星術と未完成な日々┃nicosmic life

自分自身が納得できる人生を歩むために、ホロスコープの構造を利用する

ホロスコープの全体性

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昨日のブログで、4月のカイロン講座は時期読みの「過去」をテーマにしていく予定だと書いたが、過去について考えていたら、心理学だけではなく、歴史、哲学、物理学と様々な分野における「過去」が気になり、すっかり収集がつかなくなっている。

私は北半球、月のアスペクト過多なタイプなので、未来より過去、空よりも地下や深海(宇宙は別として)、上昇よりも下降に愛着を持っている。

だから過去をめぐる旅は、本来、嫌いじゃない。

今、もっぱら再学習しているのは、若いころ夢中になったボームの「全体性と内的秩序」だ。

デビッド・ボームは、量子力学コペンハーゲン解釈に対抗する解釈方法として、ホログラフィックパラダイム理論を提唱し、マンハッタン計画にも関わった物理学者だが、ボーム曰く、「過去は、一種の内在秩序として現在の中に生きつづけている」ということだ。

ボームは、「現在が包み込まれて過去の一部となる過程で、それは存在しなくなるのではなく、単に内在秩序の宇宙倉庫の中に戻るに過ぎないこと」と示唆している。

原理的には、時間と空間のほんの少しの領域それぞれに、一切の過去と未来の可能性が全部包み込まれているというのだ。

彼は、「世界を分割不可能な全体」として見よう試みた。

物質と時間と空間が分かちがたいだけでなく、その光景を見ている観測者も世界の一部に組み込まれている、「流動運動する分割不可能な全体性」と考えた。

ボームにとって断片化は、世界観を中断し、ときには固定化するものなのである。

だから部分と全体を分けず、その間には、間断なき「流動」があると見るのである。

この流動は物質の運動であって、時間の流れであって、空間の継続でもあるが、ボームにとっては思考そのものの様式の問題でもあった。

世界を断片に分け、すべてのものの間にあるダイナミックな相互結合性を無視するという傾向こそ、私たちの生活や社会が抱える問題の原因があるというのがボームの考え方だ。

私たちは、地球全体に影響を及ぼすことなく、ある一部を取り出せると思っている。

あるいは、身体全体のことを考えず、ある一部分だけを治療することができると思っている。

様々な社会問題も、社会全体のことを考えることなしに、どうにか対処できると思っている。

個人も問題もそうだ。

例えば、お金の問題さえ解決できれば、彼との関係がうまくいけば、すべてが丸く収まると考えたりする。

ボームは、世界を断片に分けるというやり方は、すべてをなし崩しにしかねないと主張する。

ホロスコープの解釈にも同様のことが言えるだろう。

ホロスコープに示された象徴―――天体、サイン、ハウスは、それぞれ独立したものではなく「分割不可能な全体」と考えられる。

すべてにはつながりがある。

チャート全体と個人、そしてそ同時に、チャートを診断する私たちもつながっている。

だからこそ、個々の象徴をチャートから切り取り、判断するべきではないのだ。

その結果、ホロスコープ全体、つまり個人の持つ小宇宙の意味を大きく損ねてしまうことになりかねない。

宇宙全体が織りなす現実、エネルギー、空間、時間、それら全体が相互結合性の関係で働いていると考えれば、ホロスコープの解釈も大きく広がる。

ラリー・ドッシー「魂の再発見」の中にもこんな言葉がある。

すべてのものがそうであるように、精神の「ふるさと」は内在秩序である。

目に映る宇宙一切が充満する根源的な場であるこのレベルでは、直線的な時間は存在しない。

内在秩序の領域は非時間的なものなのだ。

瞬間瞬間は糸を通したビーズのように順につながっているわけではないのである。

あんなこと、こんなことを踏まえつつ、「過去」をもう少し丁寧に考えてみたい。