心理占星術と未完成な日々┃nicosmic life

自分自身が納得できる人生を歩むために、ホロスコープの構造を利用する

所属に失敗すると…

佐世保事件が社会に衝撃を与えている。

私は、ただ悲しい。

あのような方法でしか、この社会に所属できないと思ってしまった16歳の子の存在が悲しい。

原因はいろいろ言われている。

けれど、私は理由はたったひとつだと思っている。

私が講義中によく使うフレーズ、「所属に失敗すると人は死を選ぶ」というアドラーの言葉通り、彼女は所属に失敗したのだと思う。

父親との関係性が原因だと言われているが、それだけではないだろうと思う。

16歳の彼女が所属できる場を社会が与えられなかったのだ。

子供は所属するためならなんでもする。

盗みもするし、人もいじめるし、摂食障害にもなるし、リストカットもするし、必死に自分の居場所を探すため、あらゆることを試す。

必ずSOSを出している。

それでもダメだったら、人は死を選ぶしかない。

子供だけじゃない。

大人だって何でもやる。

泣いたり、ぶったり、どなったり、なんだってやる。

月が不安になれば、なんだって。

けれど、月は感覚そのものの天体なので、月だけでは所属はできない。

「私はここにいるぞ」という火星の自己主張の力、または存在を確立する太陽の力を利用しなければ、月は居場所を作ることができない。

月の状態が悪ければ、火星や太陽も適切には働きにくい。

感情的で衝動的で余裕がなくなる。

人を追い込むか、自分を追い込むかする。

それでも努力はできる。

孤独や不安、無理解に脅かされた時には、「必ず自分を理解してくれる場所がある」と信じ、それを得るために、これまでの環境を打ち破り、新しい居場所を探し求める旅に出る。

これが蟹の脱皮だ。

世界は広い。

ある場所に所属していると、そう思えないことのほうが多いが、でも世界は広い。

たったひとりの人、たったひとつの関係、たったひとつの会社だけで世界を成立させることはなく、また変わり者でも、嫌われ者でも、それぞれに合う所属の場所はかならずある。

17歳で所属に失敗した私だって、こうして生き抜くことができたのだ。

だから、16歳の子の事件はとても悲しい。