22日は冬至。
冬至はよく「死に一番近い日」とも言われるが、この日を境に陰が極まって陽が帰ってくる。
運が向いてくる転換の日。
けれど冬至に向かうまでの期間、「陽が短くなってきたね」という言葉を交わすようになる10月の終わり頃から、気持ちが沈んでくる人が多くなってくる。
言いようのない孤独や不安に襲われる人もいる。
クライアントからも嘆きの声をたくさん聞いた。
閉じていく凝縮の感覚が、人の気持ちを陰の方向に引っ張っていくのだろう。
フランスの哲学者アランによれば、気持ちの落ち込みの理由は意外と単純なものらしい。
「幸福論」の中で「悲観主義は気分によるものであり、楽観主義は意志によるものである」と言っている。
雨が降れば憂鬱になり、褒められれば元気になる。
よく「顔色が悪いけど病気か何かですか?」などと聞く人がいるが、そういった言葉は相手をわざわざ病気に追い込むようなものだとか。
だから、「お元気そうで、顔色もとてもいい」と言ってやればそれでいい。
そう考えれば、冬至へ向かうまでの夕暮れ時のあの孤独感は、季節の影響により作り出した「気分」なだけかもしれない。
そんなような気がする…というだけのもの。
実際、職場で嫌なことがあったかもしれない。
昔の古傷が痛んだり、睦まじい姿のカップルが目の前を通り過ぎたり、やるせない気持ちになることもあるだろう。
痛みを感じるということは、生を味わっている証拠。
それは、やがて深い人生の記憶へと変わっていく。
けれど、理由もなく気持ちがふさいだり、自分が見捨てられているように感じたりした時は、「この気分は、閉じていく季節がもたらしているのかもしれない」と発想を変えてみるのもいい。
人は気圧だとか、気温だとか、そういったものに無自覚に影響を受けるものだ。
冬至まで、あと数日。
後ろ向きの気分になる日もあるかもしれないけど、それが過ぎれば陽の光が満ちる方向に転換する。
逆に、長い夜の楽しみを見つけてみるのもいいかもね。
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私が読んだのは大昔だけど、さっきの言葉は麻生元首相も引用してたね。
フランス人らしく、えらく合理的な考え方を披露してるけど、そのシンプルな哲学はシンプルな解決をもたらしてくれるかもしれない。