心理占星術と未完成な日々┃nicosmic life

自分自身が納得できる人生を歩むために、ホロスコープの構造を利用する

少しだけ…中年の危機

何だか寒い一日。

みなさん、風邪など引いていませんか?

ここ数日、「成熟」の意味を考え続けている。

集中して中年の危機を研究しているということもあり、「成熟」という言葉が今の私のテーマになっている。

最近、私がよくブログで書いている「個性化(※個性化…個人が内在する可能性を実現しながらより全体的な自分自身になること。そのためには、それまで自覚されなかった無意識の領域にあるものを意識の中に取り入れ、統合していくことが不可欠である。

)」にも大いに関係する年齢だ。

「そういえば」と、30歳になった時にも同じようなことを考えていたことを思い出す。

「日本人はいつだって若者がもてはやされる。じゃあ年を取る意味ってなんだろう」と憤っていた。

「どうせ寿命も長いのんだから、30歳成人説にしてしまえばいい。そしたら、若者も年寄りも時間の猶予ができる」なんてことも、息巻いて周囲に話していたっけ。

あれから、10年経ったことになる。

時間が経つのは早い。

30~40歳の期間は、占星術的に考えればサターンリターンからトランスサタニアンのアタック、太陽期から火星期の移行期に当たる。

心理学的に考えても、この時期は非常に難しく、そして重要な年齢だ。

今日のような不安定な時代背景の中で、どのように年を重ねていけばいいのだろう。

特に加齢を敵のように感じる女性は、どうしたら成熟の方向へと転化することができるのだろう。

社会的慣習、因習、他者の価値観にとらわれず、どのように個性化へと向かっていけばいいのか。

中年の危機はあらゆる現実の問題が押し寄せ、そして自分の限界も見えてくる年齢だ。

30代後半にもなれば、大抵の人は希望や期待が崩れるのを経験しているし、自己の才能、気力、勇気の減退を感じ始める。

恐らく、もう他人を欺くことはできても、自分に嘘をつくことはできなくなってくる。

「一体、私はどこへ向かっていくのだろう」

つまり、この時期は自己感覚を修正するための重要な時期になるのだ。

ユングはこのような不安を「己の意義を見いだせない魂が苦しんでいる状態として理解されるべきだ」と言った。

ジェイムス・ホリスは「人は、古い自己に対して心理的な意味で死ぬように招かれており、それによってこそ、新しい自己像が誕生するのである」と言う。

「それなら、どうしたらいいのか?」

ジェイムス・ホリスはこう書いている。

「バランスを正す―――自分と宇宙との謙虚でしかも威厳を備えた関係を回復すること」

中年の危機のサインは、投影の崩壊によって起こる。

大抵は、倦怠感、焦燥感、空虚感、期待外れ、急にこみあげてくる怒り、意味の喪失から中年の危機を引き起こさえる。

この危機こそが、親や文化、社会的背景を超えて、個性へのチャンスとなるのだが、

「非劇的なことに、こころには退行傾性があり、権威への依存ともあいまってしばしば人をコンプレックスの奴隷にし、そうすることによって発達を滞らせる」

「その後、自分の人生は有意義ではなかったと不安を感じるのである」

とジェイムス・ホリスは分析している。

私たち女性には、母であれ、知り合いであれ、著名人であれ、参考になる(憧れる)成熟した女性というモデルケースが非常に少ない。

若さにしがみついているか、くたびれているか、言い訳をしているか、とにかく年を重ねるのも悪くないと思わせてくれるような成熟した女性に出会えるのはごくわずかだ。

ならば、自分たちでそれを目指すしかない。

個性化には、道しるべは無意味なのだ。

私は個性化には、「自分の手持ちのカードで勝負する」ことを勧めている。

きのうのコンサルテーションでもそうだったが、未来の鍵は自分の中にあることに気づくことができれば、前に進むことができる。

個性化というのは、新しい可能性ではなく、見て見ぬふりをしてきた自分の再発見なのだ。

これから、しばらくはしつこく中年の危機について考えていく予定。

自分の中でこの理論が定着するまで、このテーマは続く。

また、詳しく書いてみることにする。

余談だけど、今、若者たちの生き方の特徴として話題になっているノマドを特集したTV番組があったと知り合いから聞いた。

いつかの新聞の記事にも、「いつの時代もその時代に必要な文化人がいるものだが、今はネットツールを操れる若者がそれにあたる」と書いてあった。

でも実際は、ノマド的生き残りのスタイルは今に始まったことではない。

むしろバブル崩壊後、生き残りをかけたブローカーたち―――大きな紙袋を提げたおじさんらが、ルノアールやら帝国ホテルやらを転々としていた姿こそ、私の目にはノマド的に写っていた。

つまりノマドとは、経済不安が生みだした種族なのだ。

TVで取り上げられると、ファッションみたいになるのが怖いね。

ノマド的人生は、決して楽ではないはずだ。

よほどの実力と人脈、自己演出力と厚かましさがなければ(あと正直さとかも大事だね)、ノマドとしては生き残れない。

自分の価値を自分で生みだしていく。

それって並大抵のエネルギーでは継続できないし、やはり代償は大きい。

それでも、何にも代え難い自由という魅力、そして個の力試しはできる。

何事にも覚悟は必要か。