心理占星術と未完成な日々┃nicosmic life

自分自身が納得できる人生を歩むために、ホロスコープの構造を利用する

毎度おなじみ『禅と精神分析』を開き、well-beingを再定義 最良の状態とは十分に生まれること…

well-beingが日常に使われるようになって久しいですが、これだけ用語が一般化すると、同じ認識で使っているのかどうか逆に不安になることもあり、生徒さんからも「クライアントさんのwell-beingを目指しがんばります!」といったことを聞くことも増えてきたので、ここでもう一度、皆さんとwell-beingを再定義してみようと思います。

 

初めてwell-beingをネットで引いてみたところ、Wikipediaによると、古くは16世紀ごろから使用されていたらしく、1947年に採択されたWHO憲章では、「健康」の定義の中でwell-beingという言葉が採用され、また1980年代以後、心理学分野において主観的ウェルビーイング(幸福度)の測定の研究が盛んになったとのこと。

 

幸福度か。

あまりピンと来ないなあ。

 

私がwell-beingという言葉を知ったのは20代半ば、本屋さんで手に取った『禅と精神分析』の中でのこと。この本のことは、ブログの中で恥ずかしくなるくらい何度も書いているので聞き覚えある方もいるかもしれないけれど、この本は私に「生きることの意味」を教えてくれた重要な知恵がつまっているので、久しぶりにこの本について触れておこうと思う。

 

禅と精神分析 (現代社会科学叢書) | 鈴木 大拙, エーリッヒ・フロム, リチャード・デマルティーノ |本 | 通販 | Amazon

 

って、今、Amazonを見たら絶版になっているみたいですね。

2011年8月9日のブログには、

 

今ならアマゾンで中古品291円で買えるみたい。

安いね。

 

なんて書いてあるのに…

 

この本は鈴木大拙とエーリッヒフロムの論文から成っていて、1957年8月にメキシコ国立大学医学部精神分析教室の主催で開かれた、禅仏教と精神分析学の研究会議に端を発したというユニークな主旨のもの。

 

ここでエーリッヒ・フロムはwell-beingについて繰り返し説明をしている。

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最良の状態(well-being)の定義への第一の試みを次のように述べることができる。最良の状態とは、人間の本性と一致していることである。

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どこかで聞いたことがありますねー 私が講座でちょいちょいお伝えしている定義は、ここから来ているということです。

フロムはこのようにも書いています。

 

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最良の状態とは十分に生まれること、人が潜在的になるところのものになることを意味する。それは喜びや悲しみに対する十分な能力を持つこと、言葉を換えていえば、通常の人間が生きている半睡状態から覚醒て十分に覚醒していることを意味する。そうだとすると、それはまた創造的であることを意味する。

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そして、最後が大事なところです。

 

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最良の状態は最後に、自分の我をすてることを意味する。貪りをやめ、我を保存し拡大しようとたえずつとめることをやめることである。

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まさにホロスコープの成長プロセスのようですね。

ということで、これからも私のクラスでは、well-beingの最初の定義をエーリッヒ・フロムの言葉を共有するところから始めていこうと思います。