心理占星術と未完成な日々┃nicosmic life

自分自身が納得できる人生を歩むために、ホロスコープの構造を利用する

力付け

先日NHKの「プロフェッショナル」を観てたら、忘れられない言葉特集みたいのをやっていた。

その中で訪問看護師の女性の言葉にハッとしたので、今日はそれについて書く。

彼女は、主に末期がん患者のターミナルケアを受け持っているんだけど、その言葉というのは余命3カ月と宣告された男性から聞いたものだった。

男性は彼女のケアが始まって1カ月経っても、2ヶ月経っても、ほとんど口を聞いてくれない。

余命を宣告され、奥さんと子供2人を残し、心に重たいものを抱えている。

それを何とか吐き出させ、楽になって旅立たせたい。

そのように訪問看護師の女性は、男性の抱えたものを案じ続けていた。

そして思い切って、登山好きだった男性に「山は下っているのだから、そろそろ重い荷物を下ろしたらどうですかか?」と声を掛けてみた。

そしたら男性は「山は下っていない。まだ登っているんだ」と答えたという。

男性は、人生を諦めていたわけではなかった。

痛みや不安に耐え、必死に山の頂上を目指していた。

女性は話す。

「私たちは患者は弱いものだと考えますが、人ややっぱり強い」

私たちが相手にしているのは、もちろん末期がん患者ではないが、それでも悩みを抱え、途方に暮れ、弱っている人が多い。

だから気を抜くと、私たちは相手を弱い者として扱いそうになる。

でも私が思うのは、「人はやっぱり強い」。

昨日から始まった講座でも話をしたけれど、占星術は抱えている問題を提示するだけでは解決に至らない。

そしてこの前もブログで書いたけど、ただ質問に答え、クライアントの選択や決断の力を奪うだけでは罪深い。

「人はやっぱり強い」という前提があることを信じ、彼らの力を引き出すこと。

それが、占星術という技術を用いてやっていける最善の道だと私は考えている。

それには、天体のポジティブな面を意識することが大切だ。

天体は生き物なので、人間と同じように長所と短所を持っている。

人は落ちている時、10天体(特に太陽)のネガティブな側面が出やすくなっているので、その人物の、よりスムーズで発展的なやり方で天体が動きやすいよう促していく。

そして「相手は弱い者」と決めつけず、相手の強さを信じること。

けれど、相手は弱っている。

末期がんの男性は、言葉を口にすることが難しいほど苦しんでいた。

それは間違いない。

だからこそ、その人の心に寄り添う方法を何とか見つけ、その人に合った力付けを見つけていくしかない。

これが難しいんだけどね。

男性はその言葉を口にした8日後に亡くなったという。

彼は最後まで荷を下ろさず、人生の山を登りつづけた。

私は、こんなに強くいられるかしら…