心理占星術と未完成な日々┃nicosmic life

自分自身が納得できる人生を歩むために、ホロスコープの構造を利用する

理想主義の崩壊

きのうの昼、夜の講座共に、ノエル・ティルの理想主義のロジックについて詳しく学習した。

理想主義ってなんですか?

どのように機能するものなんですか?

それを観察することで何がわかるんですか?

と、様々な疑問の声を耳にすることが多かったためだ。

特に最近、私が気になって仕方ない海王星木星の組み合わせをホロスコープに持つ3つのチャートを使用した。

そして3つとも、水星、金星もアスペクトを形成してたね。

そのうちのひとつは、マイケル・ジャクソンだ。

マイケルのチャートは、ソーラーアークで彼の人生を追いかけながら、理想主義の昇華と崩壊までの流れを見た。

彼はおそらく最後まで、永遠の少年、ネバーランドの住人だっただろう。

それは、彼にとって幸せなことだったのだろうか。

その答えは私には出せないが、彼の理想主義が世界中の人々の耳や心に届いていたことは間違いない。

基本的にティルの言う理想主義というのは、精神分析における防衛機制と同じものであると考えていい。

抑圧、投影、現実逃避、退行、合理化など、様々な種類の防衛のスタイルが存在する。

人は誰でも多かれ少なかれ、自分なりの防衛システムというのを持っている。

防衛というのは本能であり、生き抜くために必然的に身につくものだ。

特に幼少期は、こういった心の働きがあるおかげで、苦しい現実から身を守ることができる。

しかし、やがて大人になり、現実的な問題に直面した時、それらの防衛システムが問題解決を阻み、より深い問題を作り出してしまうことがある。

なぜなら防衛とは、人には通じない、自分の価値観や考え方で形成され、正当化されたものだからだ。

親の帰りの遅いカギっ子&一人っ子の子供は、架空の友人や物語を作り、孤独な空間を埋める。

両親の厳しすぎるしつけや強引すぎる価値観の押しつけにより、子供は「愛ゆえだ」と心地よい言い訳を自分なりに見つけようとする。

そういった無意識の防衛の行為が、個人を本人にしか通用しない物語の住人へといざなう。

しかし成長してからも、やはり幼少期と同じように思い通りにはいかないことの連続のため、個人はその理想主義を手放すことができず、「この会社は私向きではない」「あの人は私を捨てたわけではない」「上司が私の人生をダメにした」などと、おそらく現実の出来事とは違う言い訳で自分を納得させる。

そうして個人は可能性を手放し、健全な成長から遠ざかり、いつまでたっても傷ついた子供のまま、もしくは不全感を抱えたまま、人生を過ごさざるを得なくなってしまう。

こうった現象を占星術的に解釈するには、まずホロスコープ中に確認できる難しさと本人の抱えている問題を慎重に照らし合わせなければならない。

うっかりしていると、彼らの理想主義的な物語に飲み込まれてしまうからだ。

そこで、ティルが行っている時期を追いかけて物語を確認するやり方が生きてくる。

現実的な現象と本人の言葉に矛盾があれば、彼らはそこに強い防衛のエネルギーを持っている、時限爆弾を抱えているということになる。

理想主義は防衛ではなく、職業として活かせたら、オリジナリティあふれる最高の武器になる。

マイケルもそうだったように、多くの人に夢や希望を与えることができるエネルギーに変換できる。

防衛機制でいう「昇華」というもの。

つまり、抑えられていた力を「守り」ではなく「表現」に変え、利用するやり方だ。

もうひとつ重要なのは、現実を恐れずしっかりと見据えることだ。

どんなに逃げても、生きている以上、現実や嫌でもついてまわる。

社会のルールや価値観に従う、居心地の良い環境、慣れたやり方を手放し、苦手意識を克服するようなチャレンジをする。

そういったことで、理想主義は自分の味方になってくれる。

マイケルもあの事件の時期、ネバーランドに逃げ込まず、耳の痛いアドバイスを聴いていれば、今でもステージに立っていたのだろうか。

それともあれほどのアーティストだから、やはり理想主義に落ちていくしかなかったのだろうか。

生きるって難しいね。