心理占星術と未完成な日々┃nicosmic life

自分自身が納得できる人生を歩むために、ホロスコープの構造を利用する

適正ってなんだろう…

そろそろ手書きの領収書もカッコ悪いかなと思い、先日、手彫りのハンコを作りに行った。

3代目の若い職人さんで、TVの取材も多く、引く手あまたで、ハンコが仕上がるまでに時間がかかるということだった。

「来年は人を育てて楽したらいいじゃないですか」と軽口をたたいたら、職人さんがこんなことを言った。

「でも、やっぱり仕事って適正とかあるじゃないですか? 生徒さんとかにいないですか? 占星術やるのに向いていないなと思うような人。そういう人になんて言うんですか? あんた、向いてないよって言ったりしないんですか?」

そんなことを考えたことなんて一度もなかったので、正直、驚いた。

占星術の適正ね…

そんなのあるのかね。

多くの人たちが否定するけれど、私は仕事に向き不向きがあるとはあまり思っていない。

だから、適職とか天職とかってあまり信じていない。

去年の夏に行った職業占星術シンポジウムでも話をしたが、実際、ほとんどの人が自分の進むべき道を選択しているものだ。

ただ、自分の選択に自信が持てず、自分を救い出してくれる仕事が他にあるはずだと思い込んで、道に迷ってしまっているだけだ。

数ある仕事の中から、なぜその仕事を選んだのか。

それを考えるほうが、あるのかないのかわからない天職を求める続けるよりもずっと有益だ。

私の仕事に対する考え方はいたってシンプルだ。

やりたいことをやればいいと思っているし、それには、やり続ける勇気を持つ必要があると思っている。

あとは、仕事が板につくまでじっくり熟成させることだ。

長い時間をかけ、愛情をもってゆっくりと育てていく。

何事も一朝一夕にはいかない。

今日のコンサルテーションでも仕事がテーマだった。

働き方と所属のあり方を変えること。

それがクライアントと出した答えだ。

私は、個人が選んだ選択を心から信じている。

けれど確かに、それぞれの仕事にはそれぞれの向き合い方というものがある。

心理占星術を学び、それを仕事にしていくなら、やはり人を受け入れる力は必要だろう。

テクニックを学び続けることはもちろん、人に興味を持たなければ、仕事として成立させるのは難しい。

カウンセリングが成り立つ条件として、カール・ロジャーズはこう言っている。

①純粋性

カウンセラーはクライアントに対して、ありのままの自分を見せることができなければならない。カウンセラーが純粋になるためには、心理的に安定した状態にいなければならない。ロジャーズは自己一致という言葉を使っているが、自己の内面に大きな矛盾がないことを意味している。

②尊重性

クライアントを尊重し、無条件に受け入れ、肯定的に関心を示すことでり、思いやりを示すことである。クライアントを本当に受け入れられるようになるには、カウンセラーにかなりの力量が備わっていなければならない。カウンセラーは、全人格をかけてクライアントと対面しなければならない。カウンセラーに尊重されていると感じてこそ、クライアントは安心して自分の心の内面を探り始めるのである。

③共感性

クライアントの話にしっかりと耳を傾け、よく聴き、よく理解する。とりわけ、クライアントが表現した感情や、言葉の背後に隠されている感情に焦点をあて、クライアント自身がうまく表現できなかった部分まで的確に表現して返すことが重要である。実際には、真に共感することはやさしいことではない。

できるできないにかかわらず、私は常に、この3つのカウンセリングのあり方を目指そうと務めている。

これは適正の問題ではなく必要性である。

このようにクライアントと接していきたいという、私の強い思いであり、目標であり、切実な希望だ。

だから、もし適正がないと言われても、私はきっとやり続けると思う。

誰にでも、やりたい仕事を目指す権利はある。

けれど、そのためには多くの忍耐を必要とする。

もし生徒さんが、そこに向かおうと本気で望むなら、私はどんな形でもサポートしたいと思っている。

だから、向き不向きなど気にせず、チャレンジしてみてもらいたい。